ドンちゃん物語

ある日のこと。
朝、2人とも顔を洗って、店に出る支度をしていました。
青ドンは、支度が早いのでもう靴下をはいています。
赤ドンはまだハッピに袖を通しているところです。
「なんかオイラ、赤一色でイヤだな~」
赤ドンがハッピの紐をしめながら、つぶやきました。
「何が?」
「格好。赤って、男らしくないじゃん!」
「そうか?オイラは赤の方がよかったなって思ってるぞ」
「ホント?」
「オゥ!」
ハッピにやっと着替えた赤ドンが鉢巻をしめながら、青ドンのいる玄関にやってきました。
「え~オイラは青ドンの着てるハッピが、いつもうらやましいんだ」
「そうか?オイラはお前の赤いハッピ着てぇよ!」
「ホント?じゃ、じゃあハッピかえっこしようよ!」
「ば~か、無理に決まってるだろ!」
「大丈夫だよ、顔一緒じゃん!!」
「よく考えてみろ!赤いハッピ着たオイラが左まわりで、
リプレイそろったら、みんな入ったと思うだろ!」
「そうか・・・チェッ・・・」
がっかりした赤ドンは、シュンとなりながら、
ぞうりを履こうと、青ドンの横にちょこんと座りました。
「青いハッピきたいなぁ・・・」
その声に青ドンが赤ドンの顔をのぞくと、赤ドンはしょんぼりしていました。
「ほら!行くぞッ」
「・・・ヤダ」
「あぁ?」
「オイラ、青いのがイイ!青がイイ!」
「何、わがまま言ってんだよ!」
「やだやだー絶対ヤダー」
「無茶言うな!」
ブーたれた赤ドンは、玄関に座ったまま足をバタバタさせています。
青ドンは、困ってしまいました。
「ったく、しょうがないヤツだな~」
「青!青がいいーー!」
「もう・・・」
そこで青ドンはイイことを思い付きました。
「そうだ!じゃあ、こうするか!」
「なに?」
「ぞうり交換するか!」
「ぞうり?」
「オゥ!青い紐のぞうり!カッコいいぞ!」
「いいの・・・?」
「いいよ、誰もオイラたちのぞうりまで見ねぇだろ!」
そう言って青ドンは自分のはいている青い紐のぞうりを、赤ドンの足元に置きました。
「ホント?いいの?」
「ほら!履けよ!」
「わぁーー!」
青ドンの履いていた青い紐のぞうりをはいた赤ドンは、
ご機嫌になってはしゃぎました。
こうして2人は、三尺玉を握りしめ出かけて行きました。

そんなわけで、
今も赤ドンは青ドンの青いぞうりを、
青ドンは赤ドンの赤いぞうりを履いているのです。
(...たぶん)

作者:リコ(妄想物語)




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